2017年7月19日に、記念すべき10枚目のニューアルバム「PROGRESS」をドロップした、日本を代表するアーティスト「FIRE BALL」
1997年活動開始。2002年にリリースされた、記念すべきファーストアルバム「火の玉」から、ライブの定番曲となっている「BRING IT ON」で一気にお茶の間へ広まり、今に至る。
そして2017年、活動20周年を迎える彼らに、新作発表の裏側を伺いつつ、これからのレゲエシーンについて、そして出演くださるSUNSET LIVE2017への意気込みなどを、CHOZEN LEE氏、TRUTHFUL a.k.a. STICKO氏のお二人にインタビューさせていただいた。
── 十枚目のフルアルバムリリースおめでとうございます。今回のアルバムのタイトル『プログレス』は直訳だと発展、進化という意味ですが、タイトルが決まった背景をお聞かせください。
CHOZEN LEE氏(以下、Lee):毎年その年のテーマを皆で決めるんですが、その中でSticko(Truthful) が提案した”Progress”が今回選ばれました。
── それはFIRE BALLとしてこのテーマでやっていこう!と満場一致で決まったのでしょうか?
Lee:いつも選ぶ順としては、今までだとONE LINKだったり、わかりやすいものを選んできました。Progressというと、多分ぱっと聞いたときに調べなきゃわからない人がたくさんいると思います。なるべくそういうのは避けていて、実際事務所内でProgressと言った時に、どういう意味ですか?という人が出てきたから、「これはやっぱりパッと聞いた時にわかるのでないとダメだね」と言っていたんです。でも、みんなProgressがかっこいいと思っていて。
── 最終的に決まったのはインスピレーション、響きのかっこよさですか?それとも意味?
Lee:意味も音も字面も。”PROGRESS”自分たちがかっこいいと思ったから、わからない人目線で決めなくてもいいんじゃないかということで。
── 今回のアルバムの方で客演のことなど少し聞かせていただきたいのですが、今回CRAZYBOYさんが参加されていましたが、客演で決まった経緯をお聞かせください。
※CRAZYBOYは三代目J Soul Brothersのパフォーマー「ELLY」のラッパー活動名
Lee:Mighty Crown がドラマ「High & Low」の楽曲「Mighty Warriors」に参加していて、そのリンクからです。CRAZYBOYはそのメンバーの中でもストリートのダンサーあがりで、感覚が近いみたいで、SIMONともみんな仲良くてそこからです。
── 実際そのできた曲を聴いた時に、やはり間違いないなと思いましたか?
Lee:自信はあった。トラックがまずSupa Dups(Bruno Mars, Eminemなどを手掛けGrammyも受賞した名プロデューサー)で間違いないですからね。
── PUSHIMさんは今回のアルバムでの参加が初めてですよね?意外でした!
Lee:そうですね、意外ですよね。PUSHIMのほうに俺らが参加したりはあって。今までずっと近いところでやっていたのですが、なぜか一緒にはやっていなかったですね。
── 今回客演が2組ですが、意図的に客演を絞られたのですか?
Lee:もともと4人でやっているのでそんなに客演も…という感じでした。でもやるなら間違いない人と、という感じです。あとあまり客演をやるとライブで実現できないことがあるので。
TRUTHFUL a.k.a. STICKO氏(以下、Sticko):フェスとかだと、それが逆に求められたりもしますしね。
Lee:そう、それがなかなか実現が難しいです。
── 今回20周年ということで昔のデビュー時と今のことをお伺いしたいと思います。デビュー時と今の音楽に対しての姿勢や考え方に変化はありましたか?
Lee:音楽そのものに対しての考え方や姿勢は、多分そんなに変わりはないと思います。昔の音楽に対しての純粋さ、そこにはお金も生活も絡んでいなくて、ただ熱意をもってやっている、それがスタート時で、今は大人になって、子供もいて、生活もあり、色々ビジネス面で絡む人もいて、そこの葛藤は常に持っている気がしています。ただその純粋さは失いたくはないけれど、色々なことに揉まれているうちにそういうのが削られたりということもあります。こうありたくない、こういたいという気持ちは常にあるので、そういう意味では変わってないところは変わっていないし、変わってしまったところももちろんあるだろうし。
── 歌い方やパフォーマンスは、デビューの頃と違っていますか?
Lee:全然違います!歌い方はもう常に、今でも研究中です。
── 今改めて思い返してみて、デビュー時の頃の歌い方はどうでしたか?
Lee:間違っている。
──(一同笑)
── 今ライブパフォーマンスで、皆さんで練習されますか?
Lee:まあ、リハーサルはします。現場でライブが完成されていくということもありますが、僕らは練習は必要だとも思います。練習に関しては、中学生の部活やっている子達の方が全然練習していて、彼らは泣きながら吹奏楽部とか、泣きながら毎日のように4、5時間練習している、それに比べたら全然練習なんてしてないのですが。。。
── 昔と今のクラブでの遊び方は変わりましたか?お仕事で行かれた時に、ご自身たちの出番が終わって朝までいるなんてことも今はありませんか?
Lee:アフターパーティーなんかはだいたい顔出しますね。
── 昔と変わっていないところもあるのですね。
── 国内外のレゲエ業界について伺いたいのですが、デビューされた頃のレゲエの業界と今のレゲエの業界の違いはありますか?昔に比べて今のレゲエの業界に対しての印象は変わりましたか?
Lee:やっぱり国内外連動しているところはあります。日本が後追いではありますが、俺らがデビューした頃は海外でレゲエブームがありました。アメリカでバーンと人気に火がついて。
日本で言うとヒップホップの流れが少し落ち着いて、レゲエの流れがきました。それは日本だけのことでなく、世界でも同じ流れでした。確実にそうなるかはわかりませんが、今日本ではまた、ヒップホップがバーンと来ていて、世界ではだんだんヒップホップとレゲエ、ダンスホールのリズムが混じり合って来ているので、そろそろレゲエの流れが来るのかなという気はします。
日本のレゲエも、選手層というか若い世代、バーンと来る人がまた出てくるといいですね〜。
昔で言ったら三木道三とかは、一般の人にレゲエを知ってもらう、とてもいいきっかけになりました。その中で、俺らFIRE BALLも、当時多分珍しがられたと思います。BRING IT ONとか音的にも多分。
── お二人は福岡のレゲエシーンにどういう印象を持たれていますか?
Lee:ずっと昔から変わらない印象です。全体のシーンとしては一気にバーンと膨らんだ分、引っ込んだ部分もあると思います。話聞くとダンス(レゲエイベント)全然ない、やりにくいとかいろいろ聞くけど、膨れた時もしぼんだ時もずっとやっているから、そういう意味では無くなっていないですね。繋がっているものはあると思います。
── 福岡によくお仕事で来られる機会があると思いますが、福岡で好きなお店や場所はございますか?
Lee:福岡に住んでいてバンドをやっている知り合いが働いている、「古民家めし まこと」がすごく良かったです。公民館崩して全部自分たちで作ったらしいですね。玄米も自分たちで畑作って、飯もこだわって野菜も無農薬で重曹で洗ったり、あそこはもう次回からマストです。その上、安い!。エビが売りだと言っていました。
── もともと誠が海老の専門店で働いていたのでその流れでしょうね。今、宮崎のアオシマビーチパークというところがあり、そこでも自分たちで展開しています。
Lee:食材とかそこまでこだわって横浜でオープンしたら、すごい流行ると思う(笑)
あと、福岡と言ったらDRUM LOGOSですね、ツアーでだいぶお世話になっています。
── 最近ツアーで回られている中、レゲエが盛り上がっているエリアはございますか?
Lee:規模的に言ったら大阪です。全国的に熱い昔からやっている連中もいるのでどこもそうですね。人の多さ少なさとかはあると思いますが。
── 最近お二方が注目しているアーティストは?
Lee:最近だとボブマーリーの孫、スキップ・マーリー(Skip Marley)はこの先楽しみですね。
── レゲエ以外だとおられますか?
Sticko:もちろんいくつかのアーティストはいます。その人のスタンスにもよると思うのですが、まだ世の中に知られてなく、素晴らしいアーティストって結構存在している印象がありますね。
── これからの国内のレゲエの全体の業界について、お二人が考える「これからの課題」をお聞かせください。
Sticko:音楽、流れだからね。でもシンプルに若い子たちが、もうちょっといい感じにリリースできるような環境にできれば、俺ら的にもいいと思います。それは自分たちの周りもそうですが。
Lee:うわーカッケーと思えるものがあれば自然にくると思います。そこはもう逆らえないじゃないですか。故に課題なんてものはございません。
── 特にお二方、FIRE BALLみなさんで応援している若手はいらっしゃいますか?
Lee:僕は基本、才能がありそうな若者は消えてくれと思っています
── (一同笑)
Lee:自分がもっとやりたくて、できていないことがいっぱいあるので。でも本当に単純にカッケーと思える奴が出れば嬉しいし、横浜レゲエ祭にも初出演の尼崎のTHUNDERや横浜のANSAみたいないいDeejayもいるし。
Sticko:若い奴らがだんだん出てくればもっといいのかな。
Lee:若い世代、今本当に、お腹の中からレゲエ聴いている子、生まれた時から、小さい時からレゲエ聴いている子たちがたくさんでてきていて。俺とかは中学後半くらいからレゲエを聴き始めたから、その子達がどうなっていくのかな?すごく楽しみ。
── 最後に出演されるSUNSET LIVEにて、FIRE BALLをすごく楽しみにされているファンの方に一言、お願いします!
Lee:PROGRESSからの新しい曲もやるし、FIRE BALLを昔聴いていた人も興奮できるような曲もやるだろうし。あとPROGRESSというぐらいだから、どこが変わって変わってないかを見せつけられたらなと。毎回どのステージもそうだけど「かましてやるぜ」としか考えてない!
Sticko:SUNSET LIVEは特別な環境でできる機会なので楽しみにしています!
レゲエの昔と今、そしてSUNSET LIVEが開催されていた、前会場に出演くださっていたアーティストとの取材とのことで、貴重な話を伺うことができた。
印象的だったのが、ベテランアーティストだからこそ大切にされているであろう「忘れてはいけない、ご自身たちが受けた恩」
ここでは省かせていただいたが、SUNSET LIVE代表の林とのエピソードなど、とても心に響くものがあった。
FIRE BALLは結成20周年、記念すべき10枚目のアルバム。
SUNSET LIVEはスタートから今年で25周年。
このタイミングで、FIRE BALLのライブをSUNSET LIVEで見ることができることそのものが「奇跡」であり、この奇跡は今回のライブに参加しないと2度と体験できない。
FIRE BALL!ますますSUNSET LIVEでのライブパフォーマンスが楽しみだ!
取材:武蔵 巧、福田基広(SUNSET STYLE 編集部)
編集、撮影:福田基広(SUNSET STYLE編集長)
FIRE BALL(ファイヤーボール)
類まれな4つの個性のアンサンブルで”リアルミュージック”を体現するレゲエ・アーティスト・グループ。
横浜を拠点に世界的に活躍するレゲエサウンド、MIGHTY CROWNに所属するソロアーティスト同士が「一つのステージを創る」ことを目的に1997年にFIRE BALLを結成。当時台頭しはじめた日本のダンスホールレゲエシーンを牽引する形で2002年、現在の4人のメンバーでメジャーデビューを果たし、これまでに9枚のオリジナルアルバムをリリース。リアルミュージックとしてのレゲエを追求し続け、音楽のみならずカルチャーシーンにも影響を及ぼしてきた。
多様なカルチャールーツを持ち(LEE-韓国 / JUN-中国, CRISS-アメリカ他, STICKO-日本)、子供のころからの仲間で達がともにレゲエに出会い、10代からマイクを握ってきた4人のメンバー。その関係性、絶妙なバランスの個性と才能の重なりから創りだされる楽曲やステージは「伝わって、楽しめて、心に響く」唯一無二の存在である。
彼らMIGHTY CROWNファミリー主催の「横浜レゲエ祭」はもちろんのこと、「フジロック」「サマーソニック」「京都大作戦」「RUSH BALL」といった大型音楽フェスにも出演、また対バンイベント「大炎上」のプロデュースなど、レゲエのメッセージ、エナジーを力強く伝える一方、近年では「Wonderful Days」などの楽曲の広がりから子供からお年寄りまでより親しまれる存在にもなり、ジャンルや年齢を飛び越えて惹きつける魅力・実力のあるアーティストとなっている。
【MIGHTY CROWN ENTERTAINMENT】 http://www.mightycrown.com
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